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第6回 通勤時間と住居費、どちらを優先すべきか。共働き世帯が後悔しないための判断基準

#住まいの選択

2026.1.26

 

住まい探しにおいて、避けて通れないのが「利便性(通勤時間)」と「コスト(住居費)」の天秤です。特に30代・40代の共働き世帯にとって、時間は一分一秒でも惜しいもの。しかし、今まさに起きている「東京23区の家賃高騰」が、その判断を難しくさせています。

今回は、どちらを優先すべきか迷っているあなたへ、10年後、20年後に「この選択でよかった」と思えるための具体的な判断基準をお伝えします。

 

「都心への近さ」を家賃で買うリスクを知る

「通勤時間は短いほうがいい」というのは、誰にとっても共通の願いです。しかし、その「近さ」のために支払う代償が、家計の未来を圧迫していないでしょうか。

 

「家賃 世帯所得」のバランスが崩れるとどうなる?

一般的に、住居費は手取り所得(可処分所得)の25%〜30%以内に収めるのが理想とされています。しかし、足元の23区内で子育てに適した広さの物件を選ぼうとすると、新たに募集される物件の家賃負担率が平均40%〜45%以上に達しているという試算もあります(※1)。

住居費に家計が圧迫されると、教育資金の積み立てや、家族でのレジャー、さらには日々の心の余裕までが削られてしまいます。「利便性」のために「将来の安心」を犠牲にしすぎていないか、まずは冷静に数字を見つめ直すことが大切です。

 

「通勤時間」を時給に換算してみる

「通勤時間が往復1時間増えるのは損だ」と感じるかもしれません。では、現在の23区の平均的な家賃と、通勤圏の一般的なローン支払い例をモデルに、その増えた時間を「投資」として捉えて計算してみましょう。

  • 23区の賃貸(通勤20分):月額24万円(23区のファミリー向け平均家賃)

  • 通勤圏の戸建て(通勤60分):月額12万円(4,500万円の借入・変動金利0.75%での返済例)

この場合、月々の差額は12万円です。通勤時間が月に合計40時間増えたとしても、「時給3,000円相当」で自分の資産を積み立てていると考えることができます。

さらに、その12万円を将来のための積立投資に回したり、子どもの教育費に充てたりすることで得られる将来的な価値は、単なる「時間の節約」を大きく上回る可能性があります。

 

働き方の変化に合わせた「ゴールデンバランス」の見つけ方

どちらを優先するか決める際、以下の3つのポイントで自分たちのライフスタイルをチェックしてみてください。

  1. 週の出社頻度は? 以前のように「毎日必ず定時出社」ではない働き方が増えています。週に数日の出社であれば、多少時間がかかっても「通勤圏 戸建て」で得られる広さと静かさのメリットが上回るはずです。

  2. 「家での時間」に何を求めるか? 家は単なる寝る場所ではなく、仕事場であり、子育ての場であり、趣味の場でもあります。家賃高騰の影響で23区内の狭い部屋に留まるよりも、郊外でゆとりある空間を手に入れるほうが、トータルの幸福度が高まる世帯は多いのです。

  3. 老後の住居費はどうなるか? 賃貸は一生払い続ける必要がありますが、持ち家は完済すれば住居費が激減します。「住宅購入のタイミング」を逃さず、現役時代に住居費の目処をつけておくことは、最強の老後対策になります。

 

まとめ:住まい選びの選択肢を広げ、トータルの幸せを最大化する

通勤時間と住居費、その正解は一つではありません。しかし、今一度「東京23区内」という限定されたエリアから視線を外し、「住まい選びの選択肢を広げる」ことで、今まで見えてこなかった解決策が必ず見つかります。

「利便性」を少し譲って「広さと資産」を取ることで、家族の会話が増え、将来への不安が消えるのであれば、それは価値のある決断です。

数字で見えるコストだけでなく、家族全員が毎日を笑顔で過ごせる「ちょうどいいバランス」を、広い視野で見つけていきましょう。

 

【参考文献・データ出典】 (※1)日本経済新聞(2026年1月13日付):「家計調査(総務省)」の23区勤労者世帯データに基づいた募集家賃の負担割合試算より

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